概要・地理
ルワンダはアフリカ大陸中部のほぼ赤道直下に位置する内陸国で、面積は長野県の2倍で26340平方km。平均標高は1000m前後あり、なだらかな丘陵と草原で国土が構成されることから「千の丘の国」と呼ばれている。なお、標高が高いため赤道直下だが気候は温帯。年間降水量は平均800mmでやや少ないが稲作は可能。
国土はコンゴ沿いの西側が一番高く、東のタンザニア国境の沼地・湖群にかけて徐々に海抜を下げている。コンゴ国境のキブ湖は琵琶湖の4倍の大きさであり、景観が美しい。
1130万人の人口は小さい国土には明らかに人口過密であるが、依然として高い人口増加率を保っている。ジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」では人口過密による農地不足が引き起こした食料危機と社会不安が100万人が犠牲になったルワンダ大虐殺の根本的な原因であると述べられている。
南部で接するブルンジとは、国土の大きさ・環境、人口、民族構成、歴史などあらゆる点で非常によく似ている。ブルンジは今もフツ族・ツチ族の対立が表面化しており、政情は安定していない。ブルンジのGNIは世界最下位で世界最貧国の1つである。
産業
小規模な半自給自足型の農業が特色だが、都市人口の増加によって農地面積は年々減少している。天水農業が主流である。
天然資源は乏しく僅かに錫とコルタン(レアメタルのタンタルを含む鉱石)が採掘されている、燃料用の伐採によって森林も枯渇しかけている。渓流や湖が多いので、水力発電の将来性が見込まれている。
ルワンダ内戦によって40%以上GDPが下落した。その後は10%前後の高成長を保っている。2016年の経済成長率は5.9%だった。現在の継続的な経済成長は、国際援助額水準の維持とコーヒーおよび茶の世界価格強化の具合に依存している。
将来は、人口過多であるため、如何に工業・サービス業を発展させて農業依存度を下げて雇用を確保するかにかかっている。モノカルチャー経済ではないが、主要貿易品目上位4種がコルタン,錫,茶,コーヒーと、全て天然資源と農作物であり、価格下落が起きると経済への打撃が大きい。
ルワンダ大虐殺
一般的には、ルワンダ大虐殺はフツ族・ツチ族間の対立が原因で、この対立はベルギーによる植民地統治時代に生まれた。19世紀以前はフツ・ツチ族の区別は無く(両者は人種・文化的に同一民族)、ベルギーによって恣意的に牧畜民のグループがツチ族として支配階級に位置づけられ、分断統治が行われたことが両者の区別と対立の始まりである。
直接的にはフツ族の大統領ハビャリマナの暗殺事件が契機で、ラジオやメディアがそれを煽り、農業用の刀などを武器にして隣人同士でも殺戮が行われた。ツチ族だけではなく穏健派フツ族も犠牲になり、当時のルワンダの総人口約730万人中、およそ80万人から100万人が殺害されたとみられている。
アフリカの小国の騒乱に関してヨーロッパ諸国・大国は無関心で、国連の治安維持部隊は十分な役割を果たすことができなかった。
虐殺はこの勃発を受けて侵攻を再開したRPFがルワンダ全土を掌握したことで漸く終息し、フツのパストゥール・ビジムングを大統領、RPFのポール・カガメを副大統領とする新政権が樹立された。
現在はツチ族主導の政権によって安定を取り戻し、国民のIDカードにもツチ・フツの記載がなされていないが、大虐殺の2年後にコンゴ国内に避難していたツチ族の武装勢力「バニャムレンゲ」の大蜂起から第一次コンゴ戦争が発生し、その後もフツ族とツチ族の対立が1つの原因となって多数の国家を巻き込んだ第二次コンゴ戦争が行われるなど、フツ族とツチ族の関係はやはり複雑である。
小ネタ
- 汚職が少ない
- 街がきれい
- 治安は安定している
- 東北部のカゲラ国立公園は国土面積の10%にも及ぶ大きさで、野生動物の宝庫。
- ルワンダ人は勤勉で日本人に似ている
- 内戦後は一貫して高成長を保ち、ルワンダの奇跡と言われるまでの経済発展を遂げた
- ツチ族ディアスポラ(国外避難民)による送金や教育を受けたディアスポラの帰還が経済を支えている
- 政府は英語教育・IT化を推進している
- 1人あたりGDPは約700ドル。ウガンダとほぼ同じで、かなり低いが、隣国でよく似ているブルンジやコンゴの2倍以上ある。
- 女性議員の比率が世界一多い。虐殺後に女性登用政策とかが行われたらしい
- ホテル・ルワンダは名作らしい
出典