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もし5000兆円手に入ってしまったら

5000兆円欲しい!で、実際どう使うの?京大生がクソ真面目に考察

もし本当に5000兆円手に入ってしまったらどうする?

 

結論: 普通の人が手に入れると日本経済が破綻。大規模なチームを組成し、政府・金融市場と対話しながら一部を使っていくことでのみ混乱を回避できる

 

 

5000兆円欲しいですよね。想像しうる限り全てのものを買えてしまう金額。
5000兆円は日本の国家予算50年分。市場中のあらゆる現金・銀行残高・国債投資信託を合わせた額が2000兆円(日経)なので、とてつもない金額です。

これだけ金額が大きいと、数億円使うのと訳が違いまして、下手に使えば日本経済が大混乱してしまうでしょう。

じゃあどうすれば良いのか、賢く使っていくためにいくつかのシナリオを想定して真面目に解説していきます。

 

※仮定として、5000兆円は今誰も持っていないので何らかの合法的な方法で無から創造され、一人の個人が保有している状態だとします。

 

 

失敗シナリオ①: 何も考えずに使う

何も考えずに使うとしても、一気に5000兆円を使うのは不可能なので、リニアを福岡まで延伸したり、任天堂を買収したりとチマチマ使っていくことになるでしょう。

となると、徐々に市中に出回るお金が増えることになるので、賢い人は価値が下がらないうちに円をドルに変えたり土地などの資産を買おうとするでしょう。時間との勝負なので先を争うように日本円を売るので市場はパニックに...

その結果、単純に供給量が増えた分だけでも日本円の価値は数分の一になりますが、パニック売りも加わり、ハイパーインフレになる可能性はかなり高そうです

経済的混乱を招いた元凶として恨まれ、日本中で起こる暴動の中で撲殺されてしまいそうですね。

 

失敗シナリオ②: 慎重に使う

単純に使ってしまうとインフレで経済が崩壊しますが、お金を一旦使わずに銀行に預けたり、専門家と組んでじっくり使い方を考えたらどうでしょう?残念ながらやっぱり日本経済は崩壊します。

日本でトップのゆうちょ銀行の預金量は200兆円弱。どこか一つの銀行に預けるとそれだけで日本トップの銀行の25倍の預金量を誇る巨大銀行が爆誕。ものすごい勢いでそれを原資に融資や貸付が増えていき、使って無くても結局ハイパーインフレになるでしょうみずほ銀行だったら預けた時点で基幹システムがダウンするかもしれませんね。

銀行に預けずにじっくり使い方を考えていたらどうなるでしょう?ここでの落とし穴が5000兆円の体積。5000億枚の1万円札の体積は64万立方メートル、天井高2.5mの家だとすると、21万畳の部屋が一杯になる面積が5000兆円を溜め込むには必要です。

そんな大金隠せるわけが無く、札束が誰かの目に入ってしまう→大ニュースになる→5000兆円市場に流入すると確実に日本円の価値が目減りするため、投資家が先取りして為替市場で円売り→経済大混乱→撲殺 というシナリオ①と同じ流れになってしまうでしょう。

 

成功シナリオ:使い方に制限を設ける

シナリオ①、②における失敗の原因に着目してみると、ハイパーインフレが市中に出回るお金が急激に増える、もしくは急激に増えると予想されることで発生してしまうからです。

それを回避する考え方は単純に、市中に出回るお金を急激に増やさず、かつ他の人に急激に増えると予想させないことです。つまり、徐々に使っていくことを宣言した上で、他の人にそれに納得してもらうことが必要。以下のアクションを行いましょう。

 

アナウンス

国民、政府、日銀、投資家などに向けて、5000兆円を保有していることと、年間の使用量に一定の上限を設定することをアナウンスします。

市場が全く反応しないことは有り得ないため、インサイダーの発生を防ぐためにもアナウンスのタイミングはなるべく早く、かつ全ての対象者に同時に行う必要があります。

上限金額も重要でしょう。日本のマネーストック解説野村證券)の増加量は年間50兆円ほどなので、あまり大きな割合を占めると使用量の上限を設けても市場を揺るがしかねず、現実的には数兆円台前半が適切な年間使用上限ラインになりそうです

同時に主要国の中央銀行機関投資家への説明も必須になるでしょう。誤解を招くと命取りなので、細心のコミュニケーションが必要です。選りすぐりの広報担当チームを各ステークホルダーと地域で組成しましょう。

 

アナウンスに対して遵守の姿勢を示す

口で言っただけでは信用されません。なぜなら法律的には5000兆円を一気に使っても問題は無く、他の人はあなたに関して殆ど背景知識が無いからです。

そこで、大手金融機関にアナウンスされた条件で委託管理してもらい、厳格に運用できるようなプロセスを構築することで信用してもらいます。

最精鋭のメガバンク投資銀行、弁護士事務所を雇って監禁状態にしてアナウンスの前に一気にスキームを作り上げる必要があります。

 

日銀の機能を侵害しないことを示す

年間の使用量に数兆円のキャップを設けると、5000兆円使い切るには1000年前後かかり、事実上、日銀の通貨発行権を部分的に肩代わりしてしまう・侵害してしまうという別の問題が生じます。

いくら厳格に運用されようと、日銀にとってコントロールできない巨大な存在がいることは日本円におけるリスクでしかありません。日銀と定例でコミュニケーションを取りながら運用プロセスの管理体制を作り上げる必要があります。

マクロ経済の専門家や政府・日銀の担当者を招集して諮問評議会を設定しましょう。

 

消却・焼却する

上記ステップをこなして冷静になってみると、毎年数兆円、1000年使うことの意味はあるのでしょうか?1000年も生きられないですし、ガチガチに固められた状態で使わなければいけないので大変そうですよね。

そこで選択肢に浮かぶのが、5000兆円の一部を処分してしまうこと。通常であれば貨幣損傷等取締法で自己所有の紙幣でも燃やすことは禁止されていますが、上述の評議会などを最大限活用して特例法などを作ってもらって4900兆円くらい処分してしまった方が色々楽かもしれません。

とはいえ現金で64万立方メートル、21万畳分なので、処分も一筋縄では行きません。
おすすめはトイレットペーパー生産工場、または火力発電所を立ててゆっくり紙幣をトイレットペーパーか電力に変換していくことです。

 

素人にはできない

以上のシナリオで、どうすれば良いかかなり明確になってきましたね。ただ、普通の人に以下3点、他所に情報が漏れないように最終責任者として同時に立ち上げることなど可能でしょうか?

  • 選りすぐりの広報担当チームを全世界で組成
  • 最精鋭のメガバンク投資銀行、弁護士事務所を雇って運用スキームを構築
  • 政府・日銀の担当者を招集して諮問評議会を設置

普通の人どころか超優秀なビジネスマンにも厳しそうです(イーロン・マスクならできるかも?)。

どこかでミスってしまったら日本経済、運が悪ければ世界経済まで崩壊し、これまでの慎ましくも幸せな生活を送ることは不可能でしょう。下手したら撲殺、、、、

 

5000兆円、本当に欲しいですか?

お金であなたのかけがえのない友人や家族は買えるでしょうか?

人生に立ち戻って考えてみて、私はこの結論にたどり着きました。