趣味の海

地理・歴史・社会・経済の自由な分析とまとめ

用語: シーパワー

シーパワーは国家が海上を支配し、活用する能力のこと。海軍力だけではなく、地形や文化背景、交易の実態、造船力、更には海洋の面を支配する軍事力として空軍やミサイル、陸軍もシーパワーを構成する要素である

 

  • 古来から海上交通路は陸上交通路に比べて運搬性・交通容量等で優れている
  • 現代でも海運のコストパフォーマンスは圧倒的で、貿易の9割は海上で行われる
  • 海は漁獲資源・化石由来の資源の産出地域てもある
  • シーパワーはランドパワーと比べて拘束される兵力が少ない分部隊の再配置等がしやすく、柔軟性に富み外交への影響が強い。これは海軍が機動性と持久力に優れていて、海洋は陸地よりも国際性が強いから
  • シーパワー国家はランドパワー国家と対決しがち
  • アメリカは太平洋と大西洋に囲まれた広義の島国であり、シーパワー国家である
  • 同様にカナダ・オーストラリアもシーパワー国家である
  • イギリス・日本は典型的なシーパワー大国、半島国であるスペインやイタリアもあてはまる
  • 中国も北を除いた周囲との隔絶性や盛んな海運と急速な海軍の発達を考えると、ランドパワーというよりシーパワー大国に入るかも
  • シーパワーとランドパワーは両立し辛い。なぜならシーパワー国家にとってランドパワーを追求すると軍の柔軟性が失われるトレードオフを持ち、ランドパワー国家にとっては海軍を構築することは非常にコストが大きく、有利な地理的なポジションを有していないから
  • 実際ランドパワー大国だったソ連は70年代に海軍を大幅に拡大したが、アメリカには太刀打ちできず、財政の圧迫はソ連崩壊の一因となった
  • シーパワーの軍事的な要となる外洋海軍の構築には膨大な費用と経験・技術の蓄積が必要である
  • 外洋で作戦能力を持つ国は世界的に見てもアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、日本、中国、インドなど非常に限られる
  • シーパワーにおいてアメリカは圧倒的で、世界の全海域の制海権をほぼ握っている
  • アメリカのシーパワーの要は空母。空母は乗組員の3倍の人員、メンテナンスと作戦余力を考えると最低3隻の保有が望ましく、これを満たすのは世界でアメリカのみ
  • 中国のシーパワー拡大は急速で、近海のA2D2能力を既に確保している